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クラシックの悦楽 願いをかなえる名曲をめぐる旅

青少年のための明るいクラシック学入門

第1章 4 クラシックに難しいイメージがつきまとう理由

 くわえて私たちのほとんどは、小学校や中学校の音楽室で人生で初めてクラシックの作曲家と対面します。それは禁欲的な表情をたたえるバッハや、羽根ペンを持つベートーヴェンのいかめしい肖像画です。これにより、私たちのクラシック音楽のイメージに、「ちょっと難しそう」というラインナップも加わります。ベートーヴェン肖像画は、他にもいくつか存在していて、なかにはもっと素朴な顔立ちの、近所の人懐っこそうなお兄ちゃんみたいなものもあり、そんなポートレイトを最初に見ていたら、彼にもっと人間くさいイメージを持つでしょう? もっともそんな人間くさいイメージこそ、天才ベートーヴェンを真に理解するには必要なものなのです。

 

 クラシック音楽が難しいと思われるもう一つの理由は、それがヨーロッパでうまれ、発達した異文化であり、これまでわが国で販売されたレコードやCDの解説書が、原盤の翻訳であることも一因かもしれません。そのせいかかつての音楽評論も、読みなれていない人にとってはややとっつきにくい翻訳体で書かれ、とても一般向けとはいえないものでした。衒学的な文章は、わかる人だけわかる特殊なものになったのだと思われます。ただ、私も含めてそういう解説や文章が、何にもまして好きでたまらない人も、少なからずいるわけですが。