クラシックの悦楽 願いをかなえる名曲をめぐる旅

青少年のための明るいクラシック学入門

第1章 1 クラシックを楽しむのに準備も知識もいらない

 ここで「クラシック音楽を辞書で調べると」、というありきたりな序文は控えたいと思います。このブログではクラシックを、あなたがたが各々、こんなものかなとイメージする音楽、と定義することにします。なぜならあらゆる芸術は本来、誰のものでもない、きわめて私的な、あなただけのものだから。つまりこのブログの読者だけクラシック音楽が存在することになります。

 

 もっとも研究者にとっては、ルネサンスバロック、古典派、後期ロマン派などの時代区分や、時代背景などの知識は、客観的に考証するうえでどうしても必要です。しかしみなさんにとって、それはあってもなくてもどちらでもよいのです。みなさんは、「モーツァルトは私にとってクラシック音楽ではない」とも言えますし、「あんなものは音楽でさえない」と言いきってもかまいません。

 

 重要なのは、知識や理屈ばかりならべる人の意見ではなく、あなた自身の耳で音楽を聴き、作品のすばらしさや、感動を発見することなのです。本来、いつの時代でも芸術とはそんなものでした。長いあいだ無名だった天才画家の作品を最初に評価するのが、名もない一般のコレクターだったりするのは、よくあることです。